昼過ぎ、イヤミが松野家の居間に
突如乱入してきた。
イヤミ
パンパカパーン!おそ松さん製作委員会から、今年の『誕生日企画』についての大発表ザンス〜〜。
一間あった後、
6つ子は同時に深いため息をつく。
イヤミ
なんでチミ達、テンション上がってないザンス?
おそ松
まぁ誕生日企画は毎年やって貰ってるしねー。
一松
特別な驚きとかはない。
チョロ松
有難いとは思うけど、正直こんなクズ達を祝って楽しいのかなって思う。
トド松
イヤミ。勿体ぶらなくて良いから、さっさと教えてよ。
イヤミ
チミ達!! 態度が悪いザンスよ!!
カラ松
待て、イヤミ。オレはいつでもベイビー達からのプレゼントをもらう準備はオッケーだぜ☆
十四松
ワクワクワクワクワイルドピッチ!!
イヤミは、コホンと一つ咳払いをした。
イヤミ
え〜、ではでは、5月24日に誕生日を迎える諸君に、製作委員会からの『誕生日企画』についての情報を解禁するザンス!耳の穴かっぽじって良くきいてちょーよ!今年の誕生日企画は…。
6つ子
ゴクリ
イヤミ
なーんにもやらない事に決まったザンス!シェー!!!
6つ子
……はぁ!!?
突然誕生日企画の中止を
告げられた6つ子は、
イヤミが去った後、
2階の部屋で騒ぎまくっていた。
おそ松
何でだよ!何で俺らの誕生日企画が中止なんだよ!!
チョロ松
イヤミが言うには、クズニートの誕生日企画を、製作委員会の人件費を使ってまでやる必要はないと判断されたみたい。
一松
まぁ、アニメ終わっちゃったしね…。
十四松
…ねぇ、トッティ。ぼくたちの誕生日どうなるの?
トド松
製作委員会が何もやらないって言うなら、従うしかないでしょ。残念だけど…。
カラ松
待て! マイブラザーたちよ!!顔をあげるんだ!
おそ松
カラ松…。
カラ松
製作委員会が動かないなら、オレたちが動けばいい!違うか!
一松
おれたちで…動く。
カラ松
そうだ!自分で動かなければ何も始まらない!ゴーイングマイウェイ!
おそ松
……うん。意味わかんねぇけど、確かに、そうだな。
十四松
あい!みんなで力を合わせればきっとできるよ!
チョロ松
うん。僕も賛成。
一松
面倒だけど…やるしかないか。
トド松
このままじゃ、終われないよね。
おそ松
そうと決まれば、お前ら!5月24日まで気合い入れていくぞ!
おー!!!
6つ子の様子をこっそり覗き見ていた
オムスビが、顔を見合わせる。
シャケ
大変だよ、このままじゃ6つ子の皆さんが、自分たちの誕生日企画を自分たちで準備するイタい人達になってしまう!
ウメ
うん。そんな悲しいことになる前に、何とかしなきゃいけないね!早く皆さんに知らせないと!
コンビニのイートインにいる
おそ松とチョロ松が、
誕生日企画の打ち合わせを行っている。
チョロ松
えーでは、第一回。誕生日企画の打ち合わせを始めます。
おそ松
よっしゃ、盛り上がるイベント考えるぞー。
チョロ松
おそ松兄さん、会議資料をプロジェクターに表示させて。
おそ松
いや、作ってねぇよ!!
チョロ松
えー、しょうがないなぁ。じゃあ口頭で。なんかアイディアある?
おそ松
誕生日と一緒に童貞卒業しちゃおう企画とかは?よくね?女の子たくさん呼んでさ。
チョロ松は兄に意見を聞いた事を
激しく後悔した。
チョロ松
……もういいわ、お前の意見を聞いた僕が馬鹿だった。
おそ松
えー、ナイスアイディアだと思ったんだけどな〜。
チョロ松
去年は製作委員会が誕生日メッセージを集めてくれてたから、同じことしてみる?
おそ松
あー良いじゃんそれ。
チョロ松
試しに書いてみようか。えーっと、『おそ松さんの中ではチョロ松くんが一番タイプです。出会ってくれてありがとう。一生推します。チョロ松命』と。
おそ松
おそ松くんを見るたびに〇〇〇したくなります。
チョロ松
ヤル事から離れろ!バカ長男!!!
十四松とカラ松は、
部屋を飾り付けるため、
仲良く折り紙を折っていた。
カラ松
細長く切った折り紙の端と端を合わせて輪っかを作る。これだけだ。やってみろ。
十四松
はしとはしを合わせて〜〜〜…あい!
カラ松
そんなに力を入れてはダメだ。折り紙が破けてしまったぞ!もっと優しく。
十四松
あい!
カラ松
輪っかを作れば良いだけだからな。そうそう、ゆっくり。はしとはしを合わせて〜。
十四松
あい!(ビリッ)
カラ松
何故最後の最後で破くんだ十四松!!
十四松
あー……。
カラ松
……折り紙は少し難しかったな。ここはオレに任せて、他の事をやってくれ。
十四松
他のことって?
カラ松
そうだな……あ!オレのことを応援しててくれ!
十四松
わかった!かっ飛ばせー!カラ松兄さん!
カラ松
おう!応援ありがとう!
十四松
バァーーーン!
カラ松
え……。
十四松の手によって大量のクラッカーが
鳴らされ、色とりどりの紙テープが
カラ松の頭に降り注いだ…。
カラ松
!!!じゅうしまーつ!それはまだ鳴らさないやーつ!!
十四松
あー。
河原で石を拾っている一松。
その側で、斜面の芝生に寝転んで
スマホを弄っているトド松。
一松
誕生日企画といえば、オリジナルグッズ。今年は、去年の描き下ろしイラストとはレベルが違う。
トド松
なんせボクたち6つ子の使用済みグッズをプレゼント〜だもんね!
一松
おれ、これにする。
トド松
なんで石!!
一松
一松愛用のパワーストーン。
トド松
愛用じゃないでしょ!さっき拾ったんでしょ!
一松
だって…おれの使用済みグッズなんて誰も欲しがらない。
トド松
そんな事ないよ。一松兄さん好きな人いっぱいいるよ!例えばネコが好きな人とか。
一松
それはネコが好きな人であっておれを好きな人ではない。
トド松
ボク以上の人気はないと思うけど、大丈夫だって!自信持って!
一松
……人を励ます方法を一から習った方がいいぞ、トッティ。
トド松
テヘ♡
一松
で、そっちは何にすんの。
トド松
ボクはこれ。トッティ愛用の帽子
一松
新品じゃん。
トド松
本当に使用済みのやつ渡すとかないから〜。
一松
マジのアイドル気取りかよ!!!
トド松と一松が帰宅すると、
ズーンと落ち込んだ兄弟達が
輪になって座っていた。
みんな、この自作自演に
ほとほと疲れ切っていたのだ…。
もう辞めたい…誰もが思っていたその時――
オムスビ
皆さん!!
絶望に打ちひしがれる6つ子達の前に、
オムスビが現れた。
オムスビ
皆さん、お誕生日おめでとうございます!!
十四松
うわ!ケーキだー!美味しそう。
チョロ松
……どうして?今年は誕生日企画はやらないって。
シャケ
何を言っているんですか?製作委員会に確認したら、ちゃんと準備してましたよ。
ウメ
ほら、見てください。
6つ子の誕生日を祝うイラストが
次々と目に入る。
カラ松
おおお!アメージング!お前達、凄いぞ。よく見てみろ。
一松
いや、おれのやつとか一枚もないと思うんで。
トド松
そんな事ないよ。ほら見て、一松兄さんの絵もいっぱい。
一松
マジか!!マジか!!
十四松
ぼくのもあるー!いっぱいあるー!
おそ松
何だよも~。準備してくれてるなら、そう言ってよ~。
チョロ松
わかっていればこんなクソみたいな時間過ごさなくて済んだのに。
シャケ
…それはボクたちも不思議に思っていました。
ウメ
誰もやらないなんて言っていないのに、どうしてこんな誤解が生まれたのでしょうか。
6つ子の頭に、一人の人物が浮かび上がる。
おそ松
…イヤミか。
一松
嘘つきやがった。アイツ、コロス。
トド松
まぁまぁ一松兄さん。一旦ケーキ食べてさ、殺すのはその後にしようよ。
一四松
いっぱい食べて~いっぱいコロース!
チョロ松
バカなこと言ってないで、みんな、飲み物持った?
カラ松
オールオッケーだ。ケーキも配るぞ。
トド松
あ、ケーキに乗っているチョコはボクにちょうだーい。
集まってくれた面々の顔を見ながら、
それぞれ飲み物を手に持つ6つ子。
乾杯の声に合わせて。
「お誕生日、
おめでとー!!」
みんな、ありがと~~~!!